それぞれの事情

生きるべきか死ぬべきか

こっちのお父さんはすごく家庭を大事にしているようにみられている。
日本のように仕事帰りに明け方まで飲んで帰ってくるなんて考えられず、自宅で愛する家族との時間を第一に考えているのが何よりの自慢らしい。
でも、こんな話もある。

ある子供が、学校で友達と話していました。その友達いわく

「大人ってみんな隠し事してるって知ってた? だからさあ、大人に向かって"隠していること知ってるんだ"って言ってごらん。簡単にお金を貰えるから。」

なるほど、と思った子供は、家に帰って、早速試してみることにした。
「おかえり」母親が玄関で迎えると、その子供は言いました。「ママ、何か隠し事してるでしょ。僕、全部知ってるよ。」
ハッと引いた母親は、「いい、パパには内緒よ。」と言いながら、20ドルを子供に渡しました。

喜んだ子供は、父親が仕事から帰ってくるのを待ちました。そして、父親が帰ってくるなり、
「僕、パパの秘密知ってるよ。」
父親はすぐさま40ドルを手渡しながら、
「いいか、ママには絶対言っちゃ駄目だぞ。」

次の日、学校に行く途中、玄関で郵便屋さんに出会いました。すっかり味を占めた子供は、その郵便屋さんにも試してみました。
「郵便屋さんが隠していること、僕は全部知ってるよ。」突然の言葉に思わず手に持っていた手紙を落としてしまった郵便屋さん。すると彼は涙を流し、大きく手を広げながらこう言いました。
「そうだよ坊や・・・、私が本当のお父さんだよ。」


*離婚、再婚等、複雑な事情を抱えている家庭が多い、カナダならではの話。