ケチャップマネー

Heinz Ketchup

最近、世間を騒がせているNEWSのひとつとして2004年の米大統領選挙前の民主党での大統領候補指名レースがある。それに大方の予想を裏切り、勝ち続けている男がいる。
それがマサチューセッツ州ジョン・ケリー上院議員(60)。ベトナム戦争に従軍し、その後地方検事になり、マサチューセッツ州の副知事を務めた。その後84年から上院議員となるなど輝かしい経歴の持ち主。彼自身が大統領候補にふさわしいことは自他ともに認めるところ。しかしその彼が勝ち続けているのはちょっとしたカラクリがある。
それは彼の奥さん・・。奥さんの名前は、テレイザ・ハインツ・ケリー。ケリーは2番目のダンナで、最初の夫はペンシルバニア州上院議員のジョン・ハインツ3世。名前から何となく分かるように彼は日本でも有名なハインツ・ケチャップ帝国の支配者。25年間連れ添った後、ハインツが飛行機事故で死亡、5億5000万ドル(約660億円)というとんでもない額の遺産を相続。その後95年にジョン・ケリーと再婚している。
ジョン・ケリーが予備選に勝ち続けているのは、このケチャップマネーを軍資金として湯水のように使えるからって言うのがこっちでは誰もが知るところ。
ただこのオバサンが実によくしゃべるらしい。ケリー上院議員基金集めのパーティに出席したある人間によると、テレイザはダンナの前立腺手術の話を悪趣味なほどリアルに話したり、予定5分のスピーチで20分以上も自分のことをベラベラとしゃべったりして客をうんざりさせたという。関係者曰く「寄付金が逃げていく音が聞こえた」ってうまい事言う人もいる。有名女性誌のひとつ「ELLE」では、自分が受けた美容整形手術の話、婚前契約の重要性、それに「ジョンが浮気をしたらどうするか」などをベラベラとしゃべり、失笑を買っている。要するに世間知らずの目立ちたがり。
共和党の連中はもちろん、こうしたテレイザの言動をジョン・ケリーへの攻撃に利用している。 こうした共和党の動きに関連して、USニューズ&ワールド・リポートのポール・ビダードがコラム「ワシントン・ウィスパーズ」におもしろい観測を書いている。もともとテレイザは、彼女の巨万の富を、夫が攻撃された場合に備えて温存しておく予定だったが、自分が原因で夫への攻撃が熾烈になっているので、早くもケチャップマネーにモノを言わせるだろう、というのだ。
どんな風にかというと、テレイザの友人のひとりは「共和党の連中が口を閉じないのなら、ケリーに軍資金を回しブッシュがやろうとするあらゆる政策をジャマするでしょうね。そうなったら、ブッシュが味わう最悪の悪夢になるんじゃないかしら」と言っているそう。
ケリー上院議員にとって、この奥さんは諸刃の剣。大統領選には莫大な軍資金が必要で、支持者の寄付金だけでなく奥さんのケチャップマネーがものをいうのは明白。しかし、ボストン・グローブジョアン・ヴェノッチは次のように言う。
「自分の考えを人々に話せるのは金のおかげであること、自分が注目を集めているのは金の力であるという現実をテレイザは理解しなければならない。ケチャップ王のジョン・ハインツの遺産がなければ、彼女の言うことがELLEやヴォーグで取り上げられるわけがないのだから・・・自分の重要性に関して錯覚したままだと、夫の大統領候補を自分が演じる喜劇のボケ役にしたててしまう危険がある」
と、専門家は語っているけど、ケリーがこのままの勢いで民主党の候補になり、本選である大統領選に行くとなると、最近支持率がどんどん下がっているけど依然強敵であるブッシュを倒す事が現実味を帯びてきた。ただブッシュが負けるのは個人的には賛成だけど、それが人物の素晴らしさとかで選ばれたのではなく、ケチャップのおかげっていうのはちょっと複雑・・・。いずれにせよ、どっちが勝っても世界が赤く染まるのには間違いないかな・・・。まぁ血よりは全然ケチャップの方がいいけどね。