UNDER GROUND

UndergroundTour

アンダーグラウンドツアー、文字通り地下のことですが、本当に地下をめぐっていきます。実はシアトルの街は、一度崩壊して使えなくなった昔の街の上に建てられています。そのためシアトルの地下には昔の街なみが一部残っており、それらを見て回るのがこのアンダーグラウンドツアー。
シアトルの歴史は19世紀半ば、それまでは6千年も前から先住民が暮らしていたシアトルに開拓者がやってきました。彼らは近くの小さな島に小屋を建て、町づくりをはじめました。彼らは埋め立てを行ない、時がたって最初の島はとうとう陸続きになったのです。その後彼らは街を作るために土地を安く、ときにはただで与え、こうして街ができあがりました。
当時のシアトルはひどい街でした。政治は腐敗し、売春が広がっていたのです。シアトルの収入の8割が売春によってまかなわれるという街でした。また下水設備は貧弱で、道路には泥の水たまりができ、ときに下水道は逆流し、汚物が吹き出すというありさまでした。しかしあるとき、このような問題を解決するような事件が起こったのです。
それは大火事でした。12時間も続いたその火事はダウンタウンを焼き尽くしてしまったのです。しかし災いは転じて福となりました。壊滅した街を立て直そうと住民たちが結集し、新たなシアトルづくりをはじめたのでした。あたらしい都市計画は、下水の逆流の原因となった干潟を埋め立て、高台に建物を建てるというものでした。もちろんこの計画はよいものでしたが、完成まで何年もの時間がかかることと、莫大な費用が必要だという大きな問題がありました。この問題に我慢ができなかった人たちは下水問題を解決する前に建物を建ててしまいました。最終的には市当局が乗り出して丘の上の土を低地に運んで低地を埋め立てることになったのですが、すでに建物が建っていたので、建物のまわりの地面だけを埋め立てて道路を高くし、その下に上下水道を通しました。こうしてシアトルは下水問題から抜け出しました。しかし道路が高くなったことで、人々は道路を渡るたびに梯子を上り下りしなければなりませんでしたし、ときには高い道路から転落死する人さえでてきました。
このため市は、現在シアトルで見られるような歩道を作ることにしました。道路と建物の2階部分をくさび形のアーチと・型鉄骨の梁でふたをし、あたらしい歩道をつくりました。また1階の歩道にも陽がはいるように天窓も取りつけられました。その一階部分というのが今日でいうアンダーグラウンドです。