ニワトリのトサカ

rkhonda2004-07-16

今日の客の会話を淡々と書いてみる。
来店してきたのは日本人の母娘。娘はきっとおれと同い年ぐらい。
おれの働く店の半分以上はホッケー関係のものばかりだから、日本人にはあまり用がない店のようだ。
大体の日本人は店に入っても、店内を回ってそのまま黙って出て行く。
とりあえず、日本語で二人に声をかけた。すると、予想通りそのまま黙って出て行こうとした。
店を出てすぐに母親が娘に小声でこう言った。
『日本人だったよね?』
すると、娘が
『うん・・・でも黒かったよ、肌・・・。』

…えっ!?もしかしておれの事?(笑)
自分ではあんまり気にもしてなかったけど、どうやら黒いらしいぞ、おれ・・・。親子の会話に多少ヘコみつつも、ふと思い返した。そう言えば、カナダに来てからやたらと聞かれる。
『どこで灼いたの?』と・・・。
いやいや、多少こっちに来て灼けたけど、元々ですからと何度も言った記憶がある。いちいち答えるの面倒だからここに書くことにする。(笑)もうみんなおれに聞くな。あんまり言うと泣くぞ!
カナダ人やアメリカ人に言われるなら分かるけど、何故か日本人も多い。何でだ?
まぁいいや、そんなこと。

おれが黒いのはオヤジに似たせいで、そのオヤジはおれよりもっと黒い。恐らく、松崎しげるとは血縁関係にあるだろう。

そこでそんなオヤジの偉大な功績をひとつ披露しよう。ものはついでだ。
それはオヤジがまだ小学生の頃。オヤジにはひとつ、どうしても解決しなければならない問題があった。多分、人生最初の壁だろう。
それは鶏のトサカの中は一体何が入っているかという事だった。

その頃、学校の中庭にある飼育小屋にはニワトリがたくさんいて、オヤジ達は産んだ卵を朝のうちにこっそり採って昼飯の時に食ってたそうだ。この時、先生達はタマゴを全く産まないニワトリだと本気で思っていたらしい。

そしてオヤジはタマゴのほかに何故かニワトリのトサカに興味を持ったそうだ。着眼点がアホである。
放課後、悪友達と一匹の雄鳥を檻から出し、謎を解決するためハサミで一思いにトサカ部分を切り取ったそうだ。
すると、出て来たのは真っ赤な血・・・。当たり前だ。それも信じられないぐらいに大量に出たらしい。当然、ニワトリは大騒ぎ。これはヤバイとアホながらに感じ取ったオヤジ達はその場から一目散に逃げたそうだ。
殺人現場並みの血痕を残した飼育小屋周辺は翌日、教師に見つかり大変な騒動に発展した。もうこうなれば何があっても言えない。墓場まで秘密を持っていく覚悟をこのとき初めてしたそうだ。結局、その事件は変質者がやったものと処理された。

一方、トサカを切られたニワトリは一命を取りとめ、生きながらえていた。ただオヤジ達の顔は覚えているらしく、鳥小屋に近づこうものなら大変な剣幕で騒ぎ立てるため、それ以降ニワトリ小屋に近づけなかったそうだ。
もちろん事件後、ニワトリが急にタマゴを産む(先生たちの中で)ようになったのは言うまでもない。